息子の試験勉強に付き合って、国語の教科書に目を通したら、ヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」の冒頭に思わず吸い込まれました。
読んだことがなかったので、「これどんな話?」と息子に聞いたら、「すごく面白いよ。」というので、読んだら、衝撃的な後味の悪さでした。
全然面白くないよ、息子よ(怒)!
負のエネルギーに引き込まれたのか、思わず、小さい頃なんとなく読んだことがある「車輪の下」もKindleにダウンロードして読んでしまいました。
「車輪の下」は、神学校の受験勉強に追いまくられる主人公が、挫折の末に…という、暗い話なのですが、大人になって読み返すと、私自身もハンスみたいな子供時代を送ってきたことに(薄々気づいていたけれど)今更ながらギョッとしました。境遇が似ていました。
私には、テレビも見させてもらえず、ずーっとガリ勉を続けていた時期がありました。得たものは大きかったけど、失ったものも大きかったな、と思います(そういう人ってもちろん私だけではないと想像しますが)。
ちなみに、ハンスは最終的に機械工になろうとしてなれなかったけれど、私は料理人になれました。それがせめてもの救いです。
ヘルマン・ヘッセを読むと、私は、後味が悪いと言うか、読んだ後気分が悪くなります。しかし、小説自体が悪いわけでは全然なくて、途中で風景や遊びの繊細なキラキラとした描写があるけど、どんどんどんどん悪くなっていく。そのコントラストもすさまじいのです。
たった1人が書いた単なる文字の羅列が、いったいどれだけの人の気持ちに感情に影響を与えたのでしょう。それを考えると、ヘッセは凄いと思います。
中期の作品はどうなんだろう?と思い、「デミアン」も読み始めてます。
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