部署替えにより、八寸場から「鍋(なべ)」(加熱調理全般を統括する部署)に替わり、その中の焼場を担当することになりました。
焼場とは、魚や肉をひたすら焼く仕事です。魚は「板(いた)」(造りや魚の卸し・下処理の専門部署)から串打ちされた魚が廻ってくるのですが、肉は自分で切りつけます。
何キロもあるブロック肉の筋引きやスライスをするのに、最初は27cmの牛刀を使っていたのですが、もっと細身で小回りのきく包丁が欲しくなりました。
そこで先日、かねてより行きたかった、正本総本店へ包丁を注文しに行きました。
正本総本店は、都営浅草線 本所吾妻橋駅徒歩3分くらいのところにあります。
店の壁面には、包丁がずらりと並んでおり、圧巻でした。
正本は、本焼包丁を自前の鋼で作っています。その本焼包丁には、「純日本鋼」と刻印されているのです。
私はこの本焼青鋼のふぐ引きを使ってます。
この包丁は、刃の幅が狭く、刃渡りが長いため、ブロックの牛肉の筋引きやスライス、それとステーキのカット用に適しています。
しかも、モリブデンが添加されているため、熱いステーキを切っても刃が劣化しにくいと考え、この素材を選びました。
早速職場で使っていますが、すごく切れ味が良いです。
筋引きをすると小回りがきいて手早く無駄なくブロック肉の掃除ができました。同じ長さの牛刀よりもこちらの方が断然使いやすかったです。
ちなみに、箱の表面の文字
「錬成光刃味覚生(レンセイ コウハ ミカク ヲ ショウズ)」
は、「鋼鉄を鍛えに鍛えた庖刀には刃に光が生じ料理にも味が出る」という意味だそうです。
(正本のカタログより)
お客さんのために、良い切り口の料理を出すことは基本中の基本です。改めて、包丁の手入れを怠らないようにしようと決意しました。
励みになります。
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