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「デカルトからベイトソンへ」を読んで

近代哲学の成り立ちと弊害からその対抗策といえるベイトソンの提言をわかりやすく解説した名著を読みました。
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「デカルトからベイトソンへ」は、アメリカのモリス・バーマンという方の著作で、” The Reenchantment of the World” というタイトルで1981年に出版されたものです。日本では1989年に翻訳されて出版されました。

それからさらに30年経った今、この本は絶版となっていますが、Amazonのマーケットプレイスでは未だに高値で取引されています。私は図書館から借りて読みました。
まず、デカルトによって完成した近代哲学というものは、どれほど私たちの考えのもとになっているかを実感しました。
デカルト的パラダイムとはこういった考えを指します。
  • 目に見える部分のみが全体を表している。
  • 身体と精神は独立しており、身体を精神がコントロールしている。
  • 世界と自分は断絶している。自分の存在とは関係なしに世界は動いている。

しかしこのパラダイムには限界があり、世界は破綻しかかっていると書かれていました。すなわち、

  • 暗黙知など目に見えない部分が確かに存在するのに、存在しないことにして、それに言及することもできない袋小路に陥る。
  • 皆、日々の仕事に意味を見出せない。
  • 空虚な気分になり、自殺者や精神疾患者が増える。

そして、これに対抗できるのは、グレゴリー・ベイトソンの提唱するパラダイムであるということです。

ベイトソンは、次のように定義しました。
  • 世界は〈精神〉でできている。
  • 〈精神〉というものは、心的特徴を備えたシステムである。
  • 心的システムは、変化や違いを検出し、身体や無意識からの暗黙知を含めたアナログ的な情報を処理し、最適状態を保つように自己修復をおこなう、複雑な回路のことである。
  • <精神>の真の単位は個体+環境である。

<精神>とは、いわゆる「関係」のことだと定義したわけです。

そして、ベイトソンは未来はこんな風になるだろうと予言しました。
  • アナログ的な表現方法(夢、ボディランゲージ、美術、ダンス、空想など)が全面的に復活するようになるだろう。
  • 他人に圧力や強制を加えることなしに、他人に影響を与える能力が台頭するだろう。
  • あらゆる種類の多様性をより広く受け入れるようになるだろう。

個人的に、この本が出版されて38年経ちましたが、この予言はほぼ実現したのではないかと思います。

芸術はより存在感を増し、利害関係とは別にネット上にインフルエンサーが現れ、皆に影響を及ぼすようになりました。そして、性別、人種、年齢、国籍などの多様性が広く受け入れられるようになってきたと思います。
今回、自分の中に深く根を下ろしていたデカルト的パラダイムに気づけ、目に見えないけど重要な「関係」を発見する良い機会になりました。
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